読了。

 だれよりもキュートに女の子を描くラリパッパ漫画家花見沢Q太郎の最新刊。

 この漫画、はじめは普通にラブコメしていたんだけれど、途中で主人公がヒロインのひとりとエッチしちゃってからそれはもうエロエロで大変なことに。

 でも、そのあとのほうが圧倒的におもしろいんだよね。ふつうラブコメというものは性を切り離すことによって成立しているモラトリアム的な様式美だ。

 それはほんとうは「恋愛」ではなく「恋愛未満」を描きだすジャンルなのである。しょせん現実であるにすぎない「恋愛」に到達するまでの距離をはてしなく延長しているといってもいい。

 でもこの漫画の主人公はあっさり好きでもない女の子とエッチしちゃう。しかもそれはドンファン的な性的冒険などでは全然なく、ただ目の前の誘惑に抵抗できなかっただけのこと。

 実際、かれはことを済ましてから「あああ、オレってオレってオレって……」と煩悶するはめになる。でもまた次の機会があるとやっぱりエッチしてしまう。そしてまた悩む。この漫画はこれを延々と繰り返している。

 これだけだったらただのエロマンガになるところなんだけれど、この漫画はこの性的乱交のうえに奇跡的なバランスで珠玉のラブコメディを成り立たせてみせる。

 毎回「絶対先の話とか考えてないだろ、花Q」とうなってしまういいかげんな展開にもかかわらず、一回8ページの枚数のなかにほとんどかならず女の子の裸を入れなければならない制約にもかかわらず、ここにはオヤジ的ないやらしさは感じられない。

 びっくりするほど自然にエロスとキュートは両立している。いや、ほんとおもしろい漫画だと思うので、花Qを苦手なかたも一度お試しあれ。