なばかり少年探偵団 さくらの季節 (富士見ミステリー文庫)

なばかり少年探偵団 さくらの季節 (富士見ミステリー文庫)

 読了。

 日本一のラブコメポルノ作家雑破業の少年少女ラブコメミステリシリーズ第一弾。どうもこのシリーズは3冊目で打ち切られたらしいのだが、まあそれも無理はないかと思わせる内容。

 ラブコメとして読むにはあまりに正統かつ古典的で、インパクトが薄い。それはもう表紙からタイトルから本編からなにもかも地味。

 従来のラブコメの方法論を30回くらい濃縮還元してできているような「クビキリサイクル」、とか「魔法先生ネギま!」みたいな作品が跳梁跋扈する時代に、これではさすがに厳しいだろう。

 いまどき、扉を開けたら着替え中の女の子がっ!とかやられてもなあ。

 僕はこのひとのポルノは何冊か読んでいるのだが、エロが入っているぶんポルノのほうがおもしろかったのではないかと思う。いっそポルノ・ミステリにしてくれれば伝説の怪作「ヒ・ミ・ツの処女探偵日記」に匹敵する世紀の奇書になったかもしれないのに。

 雑破業の描くラブコメというのは、しょせんさまざまな騒動の末に関係性が対(つい)に収束することを前提にした前時代的なものであるわけで、「いちご100%」みたいな女の子大量消費型外道ラブコメに比べるとやっぱり弱いと思うんですよね。

 いや、もっと強烈な個性を持ったキャラクターがたくさんいればこれでもおもしろくなっただろうけれど、どのキャラもあまりに平凡なんだよなあ。

 エロならこれでもいいんだけど、普通の小説だから設定の凡庸さが気にかかる。まあ雑破さんはこういう世界が好きなんだってことはよくわかるんだけど、厳しくいえばそれだけの本なのである。

 せっかく端正な文章を書けるひとなのに、もったいないよね。竹内桜絵のぶん「ちょこっとSister」のほうがおもしろいです。