バルバラ異界 (1) (flowers comics)

バルバラ異界 (1) (flowers comics)

 1巻ごとに「MAJOR」30巻ぶんの内容を詰め込んだ本を17冊並べてのけた奇蹟の超大作「残酷な神が支配する」をみごと完結させた萩尾望都の待望の(この言葉が修辞以上の意味を持つことはめずらしいが、まさに待望の)新作である。

 読んだのはずいぶん前だが、書影を使ってみたいので、いま感想を書いておく。とはいっても、この作品についてあらすじを語ったりすることはたぶん意味がないだろう。

 「夢と現実の融解」「親殺し」「食人」など衝撃的なキーワードが奔放な想像力によって縦横に展開された物語世界には、天才萩尾望都いまだ衰えることを知らずとの感を強くせざるをえない。

 複雑なイメージが渦巻くなかで「現実」と「夢」がドラマティックに反転していく物語構造的は、「銀の三角」、いや、むしろ「モザイク・ラセン」に近いだろうか。

 とにかく凡庸の作品とは桁がひとつ違う密度を誇る巨匠の新シリーズである。刮目して次巻を待つとしようか。