読了。

 「フォーチュン・クエスト」の100年前の世界を舞台にのちに伝説の勇者と呼ばれることになるただの未熟者、デュアン・サークの冒険を描くコミカルファンタジーロマン、第一部堂々の完結。

 一見、「フォーチュン・クエスト」に比べると平凡な作品に見えるのですが、通して読んでみると、なかなかどうしておもしろい。

 第7巻は全巻で活躍し魔王の復活を防いだ(らしい)主人公デュアン少年が銀ねず城の諸侯騎士たち満座のなかで賞賛を浴びるところから始まるのですが、このシーンは実にカタルシスがある。いやあ、やっぱりこうでなくちゃね! 

 でも貴族の女の子たちにかこまれてやにさがるデュアンはちょっとなさけない。まあ、年頃の男の子なら当然なんだけどさ。のちの伝説のヒーローだろ、きみ?

 もっとも、深沢さんの小説は男の子が男の子らしく、女の子が女の子らしく描かれていて良いなあ、とはいつも思います。

 昨今の漫画とかアニメでは男なのか女なのか大人なのか子どもなのかよくわからないような中性的なキャラクターがよく登場するのですが、そして時にはそれが魅力的なこともあるのですが、ことたくさんの人物が出てくるような大河小説では、やっぱり性差とか年齢差というものをきっちり描いたほうがキャラクターに幅が出ると思うのです。

 そうしないとどうしてもどのキャラクターも似たり寄ったりの半端な美形、ということになる。ことにこのような西洋風のファンタジーはそうです。

 僕は外国のファンタジー映画とか歴史映画で、胸のあいたドレスを着た女性を見るたびにひしひしと感じちゃうんだよね。肉体に対する文化的な感覚の差というものを。へたすると女性は十二単とか着込んじゃうんだものな、この国では……。

 まあ、この「デュアン・サーク」においても主役のデュアンは少女のような面貌の少年だし、かれに輪をかけて女の子っぽいチャールズ王子などという子も出てくるのですが、それでもかれらはやはり男の子で、男の子らしい思考回路を持っています。

 ヒロインのアニエスはアニエスでおもいっきり女の子しているし。こういうのもいいものだよな……。

 しかしこの2冊での主役はむしろのちの「青の聖騎士」クレイ・ジュダと、抜け暗殺者のランド・ブーツ(このふたりは「フォーチュン・クエスト」のクレイとトラップの祖先にあたる)かもしれません。

 この巻では物語はふた手に分かれたかれらの行動を追うため、「氷雪のオパール」と「アサッシン殺し」というふたつのエピソードに分かれます。

 そして第8巻のラストでかれらはひとたびデュアンの物語から姿を消すのですが、その伝説はハードカバーの「青の聖騎士伝説」へと続くようです。

 とりあえずそれも読んでみるとするか。