読了。

 「薬師寺涼子の怪奇事件簿」シリーズ第5弾。

 まああいかわらずの調子です。そろそろ涼子の父親が出てくるかと思っていたんだけれど、なかなか出てこない。このシリーズもまだまだ続きそうである。僕としては先に「アルスラーン戦記」と「タイタニア」を書いてほしいのだが。

 垣野内成美によるイラストレーションは例によってきわめて華麗。冒頭の涼子による中年男の「拷問」の場面など、そうとう悪趣味だと思うのだが、垣野内イラストによってその毒気がかなりの程度まで中和されている気がする。

 彼女の挿絵を指定したのは田中芳樹本人だから、慧眼というべきだろう。

 垣野内成美の漫画の主役をつとめるのはたいてい中高生くらいの美少女なのに、どうしてこんな破天荒なキャラクターの絵を描かせようと考えたのか不思議である。

 ところで今回は作中でフィルポッツの「赤毛のレドメイン家」の犯人がばらされているので、未読のひとは注意すること。

 ていうか、僕もこれから読もうと思っていたのに、こんなところで犯人をばらされては困るぞ。

 たしかに犯人を知っていても楽しめる作品かもしれないけれど(一般に、本格推理小説においては犯人の名前というのは世間で考えられているほど重要ではないのである。読者が想像もつかないような意外な犯人に焦点をあててつくられた作品は数少ないから)、だからといってネタバレしてもいいってものじゃないと思うんだけどなあ。

 せめて巻頭にネタバレありと書いておいてほしかった。