『クロック城』殺人事件 (講談社ノベルス)

『クロック城』殺人事件 (講談社ノベルス)

 その男の名は北山猛邦。「物理トリックの北山」の異名を取る本格推理小説界の新鋭である。

 本書「『クロック城殺人事件』」は第24回メフィスト賞受賞作にしてかれの本格文壇へのデビュー作だ。という文章で書評を書くつもりだったのだが、あまり芳しくない出来の小説なのでやめることにした。

 「木を隠すなら森のなか」とは、チェスタトンの「折れた剣」にはじまるトリック隠滅の鉄則だが、この作品はその点で失敗している。

 ちなみに次回作の「『瑠璃城』殺人事件」もやっぱり失敗している。

 だが最新作「『アリス・ミラー城』殺人事件」ではみごとに成功しているのである。短期間で長足の進歩を遂げる作家には期待する価値がある。北山よ、はやく次の作品を読ませておくれ。