涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

 読了。

 第8回角川スニーカー大賞受賞作。

 「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」。

 入学早々、そんな戯言を真剣にぶちかましてくれた超わがままな美少女涼宮ハルヒ、なぜか彼女に気に入られてしまった少年、通称キョン(最後まで本名が出てこない)は彼女がつくったSOS団という部活動に参加させられる羽目になる。

 そしていつしか彼女の願いどおりキョンのもとに次々と宇宙人や未来人や超能力者があらわれるのだった。なぜならば──というお話。

 リーダビリティが抜群に高く、300ページを1時間くらいで読めてしまう。あらすじだけ書くとめちゃくちゃな話に見えるが、この内容ならジュヴナイルSFとしてはむしろ王道だろう。

 ハルヒの正体が××というのもちゃんと前例がある(平井和正の某短編とか)。

 某書評にあるように、「どこかイってしまっている美少女の妄想妄言の類が結果として引き起こした奇々怪々な出来事に、ごくごく普通の少年が巻き込まれてはのっぴきならない状況に陥る、といったシチュエーションは、どことなく滝本竜彦の「ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ」(角川書店、1500円)と重なって見える」のだが、あの作品の苦さはここにはなく、物語はひたすら軽快に飛び跳ねたあげく予定調和的に非日常的な日常へと着地する。

 おかげで読後にはなーんにも残らない。だが、これはこれでいいのかもしれない。あきらかに滝本竜彦のほうが、この業界としては異端児なのだ。