IX(ノウェム) (電撃文庫)

IX(ノウェム) (電撃文庫)

 読了。

 古橋秀之待望の新作、書き下ろし武侠アクションロマンです。

 ただし、この巻では物語はまったく終わっていません。それどころかほんとうに本筋の話が始まっているのかどうかすら怪しい(笑)。

 タイトルがラテン語の「9」を意味する言葉なので、今後「8」、「7」、「6」……と続いて「1」で終わるのではないかと想像しています(嘘)。

 古橋さんはあとがきで「金庸武侠小説がマイブームになっている」という意味のことを書いておられますが、まさにこの作品は金庸が十二の作品で描き出してきた武侠小説の世界そのもの。

 金庸の作品と比べてるみると、内容的には「ニューロマンサー」と「猫目狩り」くらいには似ているでしょう。

 たぶん金庸作品へのオマージュなのではないかと思われる個所もいくつかあって(主人公のひとりである燕児の設定とか。金庸の作品にはこの手のキャラクターがしばしば、というかほとんど毎回出てくる)、武侠小説愛好家には見逃せない作品に仕上がっているといえると思います。

 小説としての面白さという点ではさすがに金庸のそれとは比べ物になりませんが、古龍の平均的なレベルの作品には匹敵するかも(ただし古龍の小説は日本に輸入される段階で比較的できの良い作品が選別されていると思われる)。

 薄いし、軽いし、武侠小説入門にはちょうどいい作品なので、これから武侠小説を読んでみようかな、などと考えておられる向きは、ここから読みはじめると良いでしょう。めくるめくイマジネーションの世界があなたを待っています。