いちゃらぶ萌え萌え催眠ゲーム『催眠生活』。

 家庭の事情で幼少の頃から転校を繰り返していた主人公(お約束)は、数年ぶりに転校生活に終止符を打ち、ひとり生まれ故郷へ帰ってきた。ところが、故郷でかれを待っていたものは、優しくおとなしかった幼なじみの少女麻希乃――のなれの果てだった!


 いったいどんな数年を過ごしたのか、彼女はいつのまにか「天神学園の竜巻(トルネード)」の異名を取る暴走少女へと変わっていたのである! 行く先々でトラブルを起こす麻希乃の尻ぬぐい役を押し付けられてしまった主人公は、「明るい学園生活」を取り戻すため、家伝の催眠術を用い、彼女を矯正しようとする。

 ところが、麻希乃は催眠術の効かない体質だった。計画挫折か、と思われたそのとき、意外な事実があきらかになる。実は麻希乃を除く学園全体が催眠術にかかっていたのだ! 主人公はそのことを利用して再現なく非常識に、エロティックに、日常の常識を歪めていく。

・スカートの下には下着を履かないことが「常識」
・家庭科の授業は裸エプロンで受けるのが「常識」
・水泳の授業は全裸で受けることが「常識」

 催眠の力によって、あたりまえのように主人公の歪めた「常識」に従っていく少女たち。平気で裸を晒し、からだを開く。そんななか、催眠が効かない麻希乃だけは羞恥心と屈辱感に震え、それでも「常識」に逆らうことができず、数々のいやらしい試練にあっていくのだった。

 果たして麻希乃は元のおとなしい少女に戻るのか? そうして主人公の催眠術はどこまで行ってしまうのか? クレイジーな学園☆催眠☆ライフが始まる! と、まあ、そんな話である。

 ご都合主義といえばこれ以上ないくらいの話であるが、そこはエロゲなのでオーケー。エロゲにおいてはエロさがすべてを肯定する。で、本作のエロスは淫靡というよりコミカルな「エッチ」系。そう、お色気系少年漫画のノリである。

 そういえば昔、『きまぐれオレンジロード』でヒロインに催眠術をかける話があったなあ。だいたいあんな雰囲気だ。もちろん、そこはエロゲだけあって少年漫画の範疇にはとどまらない。初めは少しは遠慮している主人公も、やがて学園中の女の子を操り、さまざまなエロ行為をさせていく。

 だれもがそこで羞恥心や屈辱感を感じることもなく、あたりまえのこととして裸になり、あるいはセックスを受け入れる。そうしてさらに変態的なことも……。しかし、それならすぐにダークな雰囲気に突入していくかというと、そうでもない。基本的にはあくまで『つよきす』的な日常コメディ描写が続く。

 で、これが催眠ものの魅力だと思うのだが、コミカルな日常をたっぷり描いてから催眠エロ展開に入るので、ギャップでそこはかとなく背徳的な雰囲気がただよう。ふだんはおとなしくてボケボケなあの子も、スポーティーで活発であの子も、催眠の力には逆らえない。主人公がそれが「常識」だと囁けば、どんないやらしいことでも平気でするようになる。

 しかし、人並みに性欲はあるものの、基本的には善良な主人公は、それをいいことに鬼畜なことをしようとはしない。だから、あくまで話はラブコメのノリで進む。だが、それでいてさまざまな事情で主人公は少女たちにエロティックな命令を下すことになり、彼女たちは嬉々としてそれに従う――ただひとり、メインヒロインの麻希乃を除いて。そうして学園の「常識」は、しだいしだいに狂っていく――。

 そういうわけで、催眠ものが好きで、なおかつダークな作品が苦手なひとには、オススメの作品である。まあ、催眠が好きじゃないひとはこんなところまで読んでいないと思うが……。ちなみに主人公以外の男性キャラは出てきません。